近年、ロレックス正規店が思わぬ形で「投資の種銭稼ぎ」の場として悪用されるケースが増えています。背景には、ロレックス人気の高騰と転売市場の拡大があります。
デイトナ、GMTマスターIIといった人気モデルは、定価で購入できれば即座に数十万円以上の儲けがでる。そのため、転売目的でロレックスを買い占める動きが後を絶たないのです。本当にほしいと思って通っている人たちが買えずにこういった転売目的で購入する人たちにかっさわれてしまう。
しかし、人気モデルを正規店で購入するハードルは高く、購入制限などがかけられているため転売グループの首謀者は「新規の顔」を必要としている。
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種銭稼ぎ目的のオープンチャットに長期間潜入調査
そこで登場したのが、LINEオープンチャットを使った新たな手口です。
転売グループの主催者は、主にSEOを使ってサイトにアクセスを集めて、そこでメールマガジンに登録させて、とある名称のオープンチャットに登録させます。
（メールマガジン配信には本来配信者の本名などを記載しなければいけないが、その人はハンドルネームを使っているので、この時点で首謀者の名前はわからない。私は長期間にわたって潜入を続けて、直接接触をはかり特定することに成功した。）
そのオープンチャットの管理者は主に2名。質問などに答える人と、担当者と呼ばれる当選者（※）に「デイトナやGMTの購入方法を指示する人」がいます。
※ロレックス正規店の中には現在、抽選制をとっている正規店も存在し、デイトナやGMTを購入するためには、事前予約をして枠を勝ち取らないといけない。枠を取るための抽選に申し込めるのは、基本的に特定期間につき1名1回限りなので、こういったオープンチャットを使って新規の人をたくさん応募させて、当選した人にデイトナをなんとか購入させるという手法が出てきている。
オープンチャット内では、もちろん、当選した人にしか詳細な情報は一切渡さない。しかし、当選した証拠をオープンチャット内で出せば、担当者に取り次がれ、詳しい購入方法を教えてもらえるというものです。
購入者の利益は1割程度
しかし、購入後に待っているのは嬉しい利益ではない。
ロレックスを売却して得た利益のうち、9割近くが指示役（オープンチャット主催者）の取り分とされるのです。メンバー自身にはわずかな「取り分」しか与えられず、実質的には労働力として搾取される形になっています。
さらに問題なのはその後。
主催者は、メンバーに向かってこう促す。
「この儲かったお金を、さらに投資で増やそう」
紹介されるのは、主催者が推奨する謎の投資案件です。
実態の不透明な暗号通貨投資や、仕組みのよくわからない海外ファンド、首謀者が紹介するアンティークコインなどが中心で、当然ながら高いリスクを伴います。もちろん「投資は自己責任です」の文句は絶対にはずさない。
結果、大して知識のない人はせっかくロレックス転売で得たわずかな利益すらも、投資案件でほぼ失われてしまうケースが後を絶たないのです。
まとめ
ロレックスの転売益を利用して種銭を作り、さらに投資で増やすという甘い話は、実際にはごく一部の指示者だけが利益を得る構造になっています。もちろん、ロレックス転売だけでやめればあなたにとっては種銭になることでしょう。
しかし、一度でも転売したことが正規店にバレれば、あなたが今後購入したいと思ったときにロレックス正規店でロレックスを購入できなくなります。一生にわたって今後ロレックスと関わりを持つことはないだろうという方であればよいのかもしれませんが。
ロレックス正規店での購入を「ビジネス」として指南するような誘いには、十分に警戒が必要です。
